襲い掛かるように抱き合った。クラウドの冷えきった身体にセフィロスの身体は熱過ぎた。
熱過ぎて、一瞬で思考が飛んだ。食らいつくように唇を奪い合う。
舌が根こそぎ引き抜かれると思うほど強く絡め合い吸い上げる。
どんなに絡めても足りなくて、呼吸すら忘れてあらゆる角度から貪りあった。
ふたりの混ざり合った唾液が口角から溢れてぽたぽたと地面に落ちた。
絡み合った舌が熱い、ひどく熱い、溶けてしまうといいこのままどろどろに溶け合ってしまえばいい。
クラウドの頭の中はとうに真っ白でやがて身体には力が入らなくなり、
崩れ落ちそうになるのをセフィロスが腰を支えた。
気の遠くなるほど激しくて長いキスが終わり漸く唇が解放されると、
クラウドは熱っぽい吐息を吐き出してセフィロスに倒れかかっていた。
自分に身体を預けてくるクラウドをセフィロスはしっかりと抱きしめる。
「こんなに、冷えて…こんなに……」
「…どうして……ここに……」
「…声が聞こえた」
セフィロスはコートの前を開けるとクラウドを中に入れて抱きしめた。
セフィロスの胸に顔をうずめるとセフィロスの鼓動がわかる。いつもより少し早い心音。
「おまえが泣いている声が聞こえたんだ……」
「…セフィ……」
悲哀と慈愛に満ちたセフィロスの声をクラウドは聞いた。声を聞くだけで、
まるでふわりふわりと羊水の中を漂っているような感覚。ずきん、
とまたあの理由のわからない苦しみに襲われて、
耐えるように両手をしっかりとセフィロスの背中に回してきつく抱き寄せた。
「おまえが泣くのは……これ以上無い責め苦だ……」
「セフィ…セフィ…セフィ……」
涙がこぼれた。悲しいのに、どうしようもなく嬉しい。
ぬくもりに包まれてとても嬉しいのに、何故か悲しい……いつしかクラウドが動き始めた。
コートの中で、セフィロスのシャツのボタンをいくつかはずし、
はだけた胸に唇を寄せ、舌を沿わせた。
「クラウド……?」
胸の紅点に柔らかくキスをして、愛しげにぴちゃぴちゃと舐め回す。
吸い上げるとセフィロスの身体が一瞬震えた。首筋を、胸元をついばむように強く口づけると、
白い肌にほのかな痕が残る。
「クラウド……クラウド!」
セフィロスが狼狽した声をあげてクラウドの手を掴んだ。
クラウドの片手が服越しにセフィロスの中心をなぞった所為だ。
突然の行為に困惑したセフィロスだったが、顔を上げたクラウドと目が合ったときに
クラウドの思いその片鱗を感じた。
「セフィ、して……ねえ…して」
「クラウド……」
「セフィが欲しいよ…セフィでいっぱいにして」
傷ついた子猫のような瞳、淋しさで揺れる瞳、涙で濡れた瞳。
冷気のためか興奮の所為か紅潮する頬、さらけ出された肌、
胸の左右についた果実は紅く立ち上がって。ぐらりと脳が揺さぶられた。
クラウドの痴態に陥落しかける。いや、もう既に身体の奥には互いのぬくもり以外の熱が
生まれ始めている。
「駄目だ……抑えが効かなくなる」
「抑えないで…いっぱい欲しいよ……何もわからなくなるまで…セフィで狂いたいよ……」
クラウドの艶を帯びた言葉にセフィロスの表情が変わった。理性の最後の砦が崩れかけた。
その瞬間瞳が正に凶暴な色を帯びた。ふたりは目を逸らさない。
視線が何よりも雄弁に語る、欲しい、欲しい、欲しい!もう言葉など必要無かった。
対極の磁石が引き合うようにゆっくりと顔が近づいて、唇が唇に触れる、
焦がれた唇に触れる、愛しい唇に、その瞬間、有り得ないはずの声がふたりを凍りつかせた。
「クラウド!!」
声というよりは悲鳴に近かったように思う。咄嗟にクラウドとセフィロスは身体を離していた。
しかし確実に、何をしていたのかは相手に見えていたはずだ。
その見開いた大きな瞳は涙に濡れていて、
けれどマリンは目の前の光景の意味を正しく理解するにはあまりにも混乱しすぎていた。
「どうしてなの…?クラウド……どうして……」
「…マリン……なぜ、外に……」
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