ティファとの結婚式はつつがなく終わった。
指輪の交換もケーキ入刀もない質素なものだったが、
この間の婚約パーティーのように、仲間うちで祝福する雰囲気のいい式だった。
「………疲れたな」
「ほーんと、みんな元気だったわね」
慣れない事だらけで、感慨を感じる余裕すらなかった気もするが、
ティファは満足しているらしい。何よりだと思う。
ともあれようやく寝室に戻ってこれてほっとしている。大きく伸びをした。
「……クラウド」
ティファに呼ばれて、何気なく振り返ると唐突にキスを落とされた。
舌が入ってくるのがわかり、クラウドは微かに混乱した。
「ティ、ファ……?」
クラウドの困惑した表情がおかしくて、ティファはキスを止めてくすくすと笑った。
「クラウドったら、油断しすぎ。そんなんじゃ、
ウォールマーケットのお姉さんに簡単にさらわれちゃうよ」
からかわれたのが分かると、クラウドは顔を赤らめた。
ティファの表情に一瞬だけ影が落ちたがクラウドには気付かせず、急に話題を変えた。
「そうそう、言いたいのはそれじゃないの」
「……?」
ティファはベッドに座って、こいこい、と手招きした。
クラウドが傍に寄ると、「もっと来て」と手招き。
不思議そうに顔を寄せると、ティファはそっと耳打ちをした。
“赤ちゃん”
ティファはおそるおそる様子を見るように見上げてくる。
クラウドは、そんなティファを見て、やがてティファの言葉の意味が分かってくると、
元から大きな瞳がみるみるうちに見開かれるのを感じた。
「……目がこぼれちゃうわよ」
「………ほんとに?」
「ほんとよ。3ヶ月」
「ほんと…に?」
「ほんとよ」
「……に?」
「ほんとだってば」
「でも俺……そんなこと、考えてもなくて……あの……なんて言ったら」
しどろもどろになってしまうクラウド。ティファ以外の、
周りの人間にはめったに見せない表情だ。そんなクラウドが可愛くてティファは優しく微笑んだ。
「何も言わなくて、いいよ」
その一言に溶かされたように、クラウドは言葉なく微笑を浮かべた。
静かに、ティファをベッドに横たえると、ゆっくりと覆いかぶさった。
「今夜は、シャワーなしで、いいよね……」
そうつぶやいたティファの唇はすぐに、塞がれた。
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