もぞもぞと自分の傍で何かが動く気配がして、クラウドは目を覚ました。
なんだか小動物に似ているな、猫なんて飼ってたっけ。
寝ぼけた頭でぼんやりそう思いながらふとティファのほうを見ると、
隣り合って寝ている自分とティファの間にマリンが入ってきているのがわかった。
「マリン?」
ティファも目を覚ましたらしい。怪訝そうにマリンのほうを見る。
「怖い夢、見たの」
目元が濡れている。泣いていたのだろう。
「怖い夢?」
「クラウドがどっか遠くに行っちゃうの」
心臓が跳ねた――何故だかわからないが。暗すぎて、
クラウドのその様子にはふたりは気付かなかった。
ティファはマリンの頭を撫でて、顔を覗き込んだ。
「大丈夫よ……クラウドはここにいるでしょ?」
マリンは何度も頷いた。でも表情からは不安が拭えない。
クラウドが、遠ざかっていく、その夢のイメージがあまりにも強くて、
また思い出してしまったのかぽろぽろと両目から涙をこぼした。
「クラウド……お願い、いかないで……」
ティファが枕もとのティッシュで涙を拭いてやる。
どうしたらいいかわからなくて、ティファはクラウドを見た。
「クラウド、何か、言ってあげて」
クラウドはどうしたらマリンが泣き止むのかわからなかったけれど、
少しでも安心させたくて、髪を何度も撫でた。
自分がされて落ち着くことは、きっと他の人にしてもそうなのだと思ったから。
そして無意識に言葉が口を突いて出た。何よりも不確かな言葉が。
「マリン…マリン、俺は、ずっとここにいるよ……どこにも行かないから……」
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