コッ、コッ、コッ、と地下に響く靴音にクラウドはゆっくりとまどろみから意識を浮上させた。
といってもクラウドの意識は思考らしい思考などしていない。
無意識にうつぶせになった身体を揺らそうとすると節々に疼痛が走って、
小さく呻き声を発した。
だらりとそのまま横たわっていると、やがてその規則的な音はクラウドの直ぐ間近で止まった。
直後、ガッ、と鈍い衝撃が走る。背を、ロングブーツで強く踏み付けられたのだ。
肺の軋む苦痛にクラウドが息を詰まらせると、
ロングブーツのつま先をクラウドの腹に突き入れるようにして、蹴り上げられた。
自然、クラウドの身体はうつぶせの体勢からごろりと転がるように無理やり上を向かされる。
そしてあらわとなるクラウドの状態、それは常人の正視に堪えるものではなく……
まず衣服、身に着けていた神羅の制服は引きちぎられ、
ぼろのように上半身に僅かばかりひっかかっているだけ、下半身に纏うものは何も無い。
両手首は布で縛り上げられ、固く拘束されている。
ことに目をひくのが全身にわたる赤黒い鬱血と内出血、
無事な箇所の白さがそれをより際立てていた。
幾度と無く殴られて腫れた顔には何の色も表情も浮かばず、
青玉の瞳は死に際の魚のように虚ろに瞬いていた。
惨憺たるもの、まさにその表現が相応しい。その状況を創り出した男である
セフィロスは、クラウドを見下ろすと拍子抜けなほど柔らかく微笑んだ。
「いいものを持ってきた。お前に似合うと思って」
セフィロスが手にしていたのはチタン合金の手錠だった。
ナイフでクラウドの手首を戒めていた布を切り裂くと、
鬱血した手首にその手錠をはめた。細く折れそうな手首に、金属光沢を放つ手錠は、
いささか倒錯的ではあるが確かに調和していた。
「…似合ってる。慈悲の女神アイドスでさえもお前の姿には唾を吐くだろう」
クラウドの表情は、虚無のまま変わらない。それを見て声も無く笑うと、
セフィロスはゆっくりと傷だらけの肢体に覆いかぶさって緩やかに動き始めた。
此処、神羅屋敷の地下へクラウドを閉じこめてから、幾度目かのレイプを。
第一章 終了
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