それは夜ごと繰り返される神聖な儀式
神という名の古びた塑像をミッドガル上層部などの都市で見つけることは難しいが、
この村のように都市の喧騒から遠く離れた場所においては
わずかにその片鱗を伺うことができる。
たとえばそれは村のほぼ中心部にある古びた建物。
中はこの村のどの建造物よりも広く、天井は優に10メートルはあろうか。幾重にも机と長椅子が置かれ、
多くの人を収容できる造りになっている。適度に装飾を施された内壁、
それは一種のホールのようだ。
村のものはここを「教会」と呼ぶ。
教会堂とは一般的に礼拝儀式および宗教的会合のための建物のことを指すが、
この場合それに限ったことではなく、通常の村人の会合においても用いられる。
むしろ今となっては主にそちらの用途で用いられることの方が多く、
教会奥には本来の役目を果たすことを忘れた偶像が埃をかぶっている。
ただいずれにせよこの『教会』へ真夜中になってから立ち入るものはほとんどいない。
ほとんど、ということはごく少数ではあるが立ち入るものがあるということ。
その人物とは、たとえば近ごろ毎夜毎夜教会を訪れる、
一般的にクラウド・ストライフとされる人間のこと。
なぜこのような表現をするかというと、
今の時点でこの人物をクラウド・ストライフと決定付けるファクターは
あくまで外見的なものに限られるからだ。奔放にはねたハニーブロンド、
暗い中でも不思議な輝きを放つ青い瞳、外見はあくまでもクラウド・ストライフ。
ただし、中身はそうとは限らない。
なぜなら昼間の彼に問いかけてみる。昨夜はどこかに出かけていましたか?と。
すると彼はきょとんとした顔で「ずっと寝ていたよ」と答えるのだ。
嘘をついているようには見えない。
明日同じ質問を繰り返しても同じ答えが返ってくるだろう。そんな毎日。
だが確かに彼は仲間たちが寝静まった夜中になると宿屋を抜け出して教会へ走るのだ。
そしてクラウド・ストライフなる人間は物理的にひとりしかいない。
ここから導き出される結論はおそらくひとつの可能性に集約されるのであろうが、
いずれにせよ昼間の彼からは何故か夜の記憶だけが抜け落ちている。
クラウド・ストライフであってクラウド・ストライフではない、
しかしまぎれもないクラウド・ストライフ。今夜も彼は教会へと急ぐ。
その表情はまるで遊びに出かける童子のようで。
「セフィロス!」
クラウドが教会内に足を踏み入れると、そこには既に先客がいた。
祭壇の上、教会正面のステンドグラスを見上げてひとり佇んでいる。
その姿を認めて、クラウドが子犬ように駆け寄っていく。
先客が長い銀の髪と漆黒のロングコートを翻して振り返ると、
その表情は微笑んでいて。駆け寄るが早いかクラウドは思うさま抱きついていた。
「セフィ、セフィ……会いたかったぁ、セフィロス」
もし昼間のクラウドを知る人がこの光景を見たら驚嘆することだろう。
クールな孤高さはなりを潜め、愛しさに溢れた無邪気さに満ちている。
それは仲間たちの誰もが見たことのない、そう、今も昔も、この男の前でだけ。
セフィロスと呼ばれた男は首筋に顔をうずめるクラウドの髪を優しく梳いた。
「毎日会っているだろう?」
「うん……だって、いつも一緒にいたいよ」
ククッと声もなくセフィロスが笑う。
「本当に、おまえは……どうしてそんなに可愛いのだろうな」
教会内に明かりはなく、光源は小さな窓やステンドグラス越しの月明かりのみ、
しかし夜目の利くソルジャーであるふたりは特に不自由を感じることはない。
二対の瞳がぼんやりと闇に浮かび上がる。燐光のように。
「さあ、今夜も聴かせておくれ。おまえの旋律を」
セフィロスは妖しく口角をあげて、その目線でクラウドをつらぬいた。クラウドは、無意識のうちに震えた。
これほどまでに妖艶な笑みがあるだろうか、それがすべての引き金となった。
はあふ、と熱っぽい吐息を漏らして、胸を苦しそうに押さえ、
ゆっくりとゆっくりとセフィロスの前に跪いた。
「セフィロス……俺は、……ああ……俺、は……」
「焦ることはない。おまえの心が欲するままに、奏でればいい」
ひれ伏したクラウドはセフィロスの靴先を凝視したまま、
神がかったように恍惚な表情を浮かべ、まるで熱病のなかにあるように喘ぎつつ
吐息混じりに声を流す。
「……俺はあなたを……心から、…そう…心から……あなたは……あなたは、
俺の……そう、あなたは…………」
「あなたは?」
“神”
「唯一無二の神……あなただけ…俺を満たしてくれる、
あなただけが…
……あなたは夜ごと降り立つ、だから…俺は、夜ごと語りかける
…………あぁ………セフィロス……セフィロス…セフィロス」
幾度となく、その名を呼ぶ。やがてそっと靴先に口付けた。
誰に教えられたわけでもない、クラウドは衝動の赴くままに言葉を紡ぎ、
セフィロスに縋りつく。クラウドの旋律は心地よく響く。
それゆえにセフィロスは逢瀬のごとにクラウドの思いを確認しようとする。
そして「旋律」とは、言葉だけではない。……言葉だけでは。
クラウドがセフィロスの顔に視線を移すと、セフィロスは穏やかに微笑んでいて、
その顔を見たクラウドも高揚で息を乱しながらにっこりと微笑んだ。
嬉しくてどうしようもなくて、クラウドが立ち上がりざまセフィロスの胸に抱きつくと、
セフィロスはクラウドのおとがいをとらえて少々強引に唇を奪った。
舌が入ってくると思って薄く開けた唇、しかし入ってきたのは何かの液体だった。
思わず全部飲み込んでしまったが、疑問に思う前にセフィロスの舌が口腔内を蹂躙し始めて、
瞬く間にクラウドの思考は停止した。
「んぅ……は、……ん……んー…っ」
夢中になって舌を絡ませる。セフィロスは両手でクラウドの耳を押さえてキスを続ける。
その理由は言わずともクラウドにはわかった。
耳を押さえられると頭の中で音が反響する――否応なしにキスの音がはっきりと聞こえる。
しかもセフィロスはわざとくちゅくちゅと音をたてるように執拗なキスをするから、
クラウドはますます興奮して必死にセフィロスにしがみついた。
なすがまま口中をまさぐられる内に過剰に分泌された唾液があふれて喉を伝う。
さらに体液を流し込まれて、飲み込みきれなかったものがまた光る筋を作る。
口腔内あますところなく愛撫し合う、それはひどく長いキス、
そのままひとつに溶け合ってしまうと思った。
ようやく解放される頃にはすっかり足腰立たなくなり、
クラウドはセフィロスの胸にしなだれかかっていた。
「大丈夫か」
とろけてしまった表情をなおせないまま、朦朧と頷いた。
「う…ん。……さっき飲んだの、何……?」
わかってるだろう、と言うように、セフィロスはくすりと笑う。
「おまえをもっと可愛くさせるもの」
クラウドは頬が赤らむのを感じた。何となくそんな気はした。けれど
実際言われると背筋を羞恥心が駆け上ってくる。
「今日は趣向を変えようと思ってな」
そう言ってクラウドの髪を丁寧に梳いた。クラウドは、
こうされることでひどく心が安らぐのを感じて、
どこか安心したようにセフィロスに全てを預けた。
「薬が効くまでほんの少し時間がかかる。……その間に」
クラウドは微笑んで頷くと、自分の上着に手をかけた。
「準備」は自分ですることになっている。脱ぎながら、
今日のことをセフィロスに報告するのが恒例。
「…最近は……戦ってばかりだ」
剥がれた衣服を足元に次々と落としてゆく。
そこから現れるのは積もりたての雪のように白く滑らかな素肌。
皮膚をさらけだすごとに、今日のことを告白する。自分のこと、仲間のこと。
この「クラウド」は敵に情報を与えている、となどとは微塵にも思っていないのだろう。ひどく無邪気だ。
「6回くらい、戦って。少しは強くなれたかな」
ボトムを下げ、セフィロスの視線を感じて、わずかにためらってから、下着も脱いだ。
一糸まとわぬ姿になって、少し恥ずかしそうにセフィロスを見た。
「もう少し強くなるまでこの町にいるから……まだしばらく会える」
「おまえがどこへ行こうとも、私はいつもおまえのそばにいるよ」
くつくつとセフィロスは笑う。セフィロスの機嫌がいいことが嬉しくて、
クラウドの口元が自然とほころんだ。そして「準備」の最後に、
脱いだボトムのポケットから細長い布を取り出して、自らの視界を覆い隠そうとする。
「今日は目隠しはしなくていい」
セフィロスがクラウドの手から布を取り去った。クラウドは不思議そうにセフィロスを見る。
「え……?」
「言っただろう?今日は趣向を変えると」
その代わり、と、クラウドを後ろに向かせると、その布で両手を後ろ手にしっかりと縛った。
「クラウド」は、抵抗しない。そして祭壇の上にクラウドを座らせた。
セフィロス自身は着衣のまま一歩引いたところに腰を下ろす。
「今夜は、見ていよう」
絶世の美貌が妖艶な笑みを刻む。
「おまえが乱れるさまを。見せてくれ。私だけに」
祭壇に飾られたのはうつくしいささげもの。セフィロスのみが支配できるささげもの。
その一神の言葉にぞくりと背筋を震わせて、
身体の芯に火が灯るのをクラウドはつぶさに感じた。それは、
これからさざめく世界の、最初の入り口に過ぎなかった。
「はぁ……は………あ……セ、フィ………」
身体の奥がどうしようもなく、熱い。触れられてもいないのに白皙の肌は既に桜色に染まり、
ぞわりと身体中を駆け巡る快感の一歩手前のようなもどかしい感覚をどうにかして
散らせようと、クラウドはしきりに身をよじらせ、熱く湿った吐息を吐き出す。
特に下半身から来るざわめきは甚だ強く、身体の中心、
硬くそりたった器官の先端からはいつもよりずっと多量の蜜が溢れて、
愛液がとろりと根元にまで光る軌跡を描く。
奥のつぼみは押し入ってくるものを待ち焦がれてひくつき、既にとろけきっている。
「セフィ……おね、がい……」
救いを求めるような目でクラウドはセフィロスを見る。
「……俺、………いき…たい……」
クラウドは瞳を濡らせて懇願するが、セフィロスはじっとクラウドを見つめて、
薄く笑みをたたえるだけ。クラウドは腰をくねらせ、どうにか達しようとするが、
手の自由の利かないなか、それは叶えられない。後ろで縛られた両手は、
まるで暗示をかけられたように動かない。
「いかせて……お願い、…いかせてぇ……」
大きな瞳から、涙がひとしずくこぼれた。
身体が熱くて、熱くて、クラウドの全身が、セフィロスの手指を、唇を、舌を求めて粟立つ。
「目隠しをさせなくて正解だな。この方が遥かにイイ」
セフィロスを求めて潤む瞳があやまたずセフィロスを射抜く。たまらなく嗜虐心をそそる。
「もう、だめぇ……我慢…できない……っ」
やがてクラウドのなき声がいよいよ切羽詰ってくると、
ようやくセフィロスはクラウドの傍に寄り、ふっと首筋に吐息をかけた。
それだけでクラウドが過敏に反応して震える。
「あ、あ…っ、」
「……これで楽になれると思うなよ」
震える砲身に手をかけようとして、
セフィロスは何かに気づいたようにその笑みを深くした。
「口と手、どちらがいいか?」
「…………っ」
その問いかけに、クラウドは身体の熱が余計に高くなるのを感じながら、
与えられるものの予兆に敗北し、小さく要求を口にした。
「くち……」
「素直なのは良いことだ」
クラウドによく見えるように大きく口を開き、ゆっくりと濡れそぼる果実を含む。
じゅるじゅると吸ってしゃぶる音に、強烈な満足感に弾かれたクラウドの悲鳴が重なる。
「あ…!あ、あ…やああん」
30秒ともたなかった。とろけるような甘い悲鳴をあげて、
クラウドが最初の到達をする。けれど、
後残りの精液をちゅくっと吸い上げられて唇が離れても、
クラウドの身体の震えは一向に治まらなかった。
「あ…あ……変っ……変、だよぉ……セフィ……」
射精の絶頂は時とともに、山を下るようにゆっくりと引いてゆくはずだった、
いつもならば。けれど今は山を下ることが出来ず、絶頂付近をさまよったまま、
がくがくと震えて、唾液と愛液に濡れ光るペニスはもう硬く上を向いている。
ほんの少しの刺激で、またイってしまいそうだ。
「だから言っただろう。これで楽になると思うな、と。飲ませたのは、
少し強い薬だ。どちらかというと女のオーガズムに近い絶頂感になる。
イキっぱなしの感覚は私にはわからないが、かなりイイのだろう?」
セフィロスはクラウドを押し倒し、右手で太腿を押し広げると、
もう片方の手指を一気に2本、突き入れた。
「きゃあんっ!」
「2本余裕で入った。やはり淫乱だな」
ククッと笑いながら、ゆっくりと抜きさしを始めた。
腹側に指を折り曲げてぐりりと押し付ける。そのたび、
クラウドの身体は不自然なほど痙攣を繰り返す。
「や…だめ、そこ、だめぇ…っ……も、おかしいくらい、
あ、ああぁっ…いきそう…出ちゃう……」
「好きなだけいくがいいさ。そのための仕様だ」
「や、あぁ、あ…いくっ、いくううぅ」
この上なくいやらしい表情を晒して、砲身から勢いよく白濁が放たれる。
クラウドの胸に散ったそれを、セフィロスは顔を寄せてぺろりと舐め上げた。
「さすがに早いな?そんなに飛ばしてたら、後がつらいぞ」
「だ…ってっ、もう………止まらない、よ……」
息乱して、胸を這う舌と中を掻き回す二本の指の感触に気を狂わされそうになりつつも、
クラウドの視線がセフィロスの下半身に移る。
「ねえ…指、じゃなくてっ……」
胸元のかすかなセフィロスの吐息にも感じて、震えながらクラウドは懇願する。
「ならば、もっと求めてみるがいい」
何と凄惨な笑み。それにクラウドは逆らえない。
強引に身体を起こし、不安定な体勢でセフィロスに倒れかかると、
必死に頬を「それ」の在るところに擦りつけた。
「セフィの、欲しいよぉ……!」
もう我慢できない、とばかりに、ジッパーをくわえて引き摺り下ろすと、
中から現れたそれを口いっぱいに頬張って吸い付いた。
それは母親の乳を吸う赤子のように無垢で純粋だ。
クラウドはセフィロスのものをしゃぶることができるのが嬉しくて仕方ない。夢中で愛撫した。
くちゅ、ちゅ、じゅ、ひどい水音。
むしろクラウドの方が恍惚とした表情を浮かべ、
もうあそこから指は抜かれたのにくわえているだけで感じるのか、
時折びくびくと震えるさまをセフィロスは面白そうに眺めている。
しかしやがてセフィロスはクラウドの髪を鷲掴みにすると、
無理やり引き剥がして行為を中止させた。
「まだ、だ」
まだ、やらない。もっと私を楽しませなければ。
そう言い放ったセフィロスは次の瞬間凄惨な行動に出た。
「あ……ぅあああ…!!」
クラウドの悲鳴が押し出される。セフィロスが異物を突き入れたのだ。
クラウドは冷たいその感触に困惑と言うよりは恐怖を覚えた。
「や、だ……っ!…これ、何……!?」
「たいしたものじゃないさ。ただの『おもちゃ』だ」
左右にひねりながら出し入れを繰り返す。それだけでもかなりの刺激、
クラウドは訳がわからないまま快感の波に呑み込まれかける。
「い、やぁぁぁぁ!いやあ…っああっっあんっ……やだ…ぁ…」
「私のよりは小さいはずだが、そんなに感じるか?……ここ、か」
クラウドが特に敏感な反応を返す箇所を見つけると、
そこに擦りつけるようにして、かち、と『おもちゃ』のスイッチを入れた。
身体の中でくねりだしたそれの刺激にクラウドは見も世もないような声をあげる。
「あああぁん…!や、やだ…やめ…っ、ああ!…あ…あ……っ!」
制止の声も出せないほどの快楽に脳細胞がとろけ始める。
困惑の表情が次第に恍惚へと変化するのを見て、
セフィロスは『おもちゃ』から手を離し一歩下がろうとした。
「やだ!う、あぁ…ぁああ!…や、だ……ぁ、あああっ!」
「どうした、嫌じゃないだろう?そんなよさそうなカオをして」
「やぁ、や、あ、あっ、ひああっ!ま、た、出ちゃ……!」
イイトコロで振動を続ける物体の刺激に耐え切れずに3度目の射精をした。
それでもまだイキ足りないとばかりにクラウドのものは射精を望む角度を保っている。
「あ…っ、あ……いやぁあん……やだぁ……」
いった直後の感覚と、更なる快感を求める感覚に震えて断続的に跳ねる身体、
生理的なものなのか感情的なものなのかわからないが、
次々と溢れる涙をこぼしながらクラウドは必死に首を振って抵抗を続ける。
そしてこのとき、とうとうセフィロスを求める思いが弾けた。
「セフィの、じゃないと、やだ…!!」
セフィロスは、我が意を得たり、と低く笑った。
身体の奥底から歓喜の震えが沸き起こるのを感じた。
クラウドをめちゃくちゃによがらせて、自分を求めさせたい
……その願望が叶った瞬間だった。
「いい子だ、クラウド……もう少し、我慢しなさい?」
セフィロスが首筋をぺろりと舐め上げるとそのたびに大きく震える。
敏感すぎる反応を楽しみながら舌先での愛撫を次第に降下させていく。
「もうどこを触ってもイキそうだな」
「セフィ……早、く…いれて……早く…!」
入れっぱなしの『おもちゃ』から来る振動で、
いろんな液体にまみれた砲身がふるふると震えている。
セフィロスは舌なめずりをして、ほんの少しだけ先端の割れ目に舌を沿わせた。
「……っ」
「決めた。私の口であともう一回イったら、挿れてやる」
根元から先端までをつーっと舌でなぞり、
先っぽを唇でそっとついばむようにしてじらしながら緩やかな刺激を与えると、
さざなみのような快感に弱弱しく喘ぎが漏れる。
「あ…あ…あ……」
やがてセフィロスはじらすのに飽きたのか、
腫れ上がった亀頭が温かい口の中に含まれた。
もう軽く吸い上げられただけで気がおかしくなりそうになる。
その間にも身体の中では『おもちゃ』がスイングの動きと振動を続けたまま、
あたっている箇所がじんじんと熱く痺れてくる。
「あぁ……あああっ…も、う……ア…アアッ!………」
快感の波が、気持ちよくなる度に、段階ごとに強くなってくる。
のぼりつめていくのがわかる。
その上昇曲線を熟知しているかのようにセフィロスの口淫は激しさを増していく。
奥までくわえ込んで口腔内で締め上げ、ベルベットのような舌でちろちろと裏筋をなぞる。
クラウドは、もう堪らない、と身をわななかせ、泣きながら震え続ける。
「だ、だめ…ああぁぁぁん……そん、な、吸わないで……あっあああっ…
も、で、でる…でちゃう!……あああぁ…!」
耐え切れずに、びくんびくんと激しく震えて口の中に多量の液体が放たれた。
それは精液ではなく、もっとさらさらとした液体だった。
セフィロスはかまわずすべて飲み込んだ。精液よりもはるかに飲み下しやすい。
セフィロスは口端からこぼれた体液を指でぬぐうとぺろりと舐めて笑った。
「ククッ、失禁するほどヨかったか?」
クラウドは失神こそしなかったが、涙が幾筋も頬を流れ、
開きっぱなしの唇からは銀糸がこぼれたまま、濡れた瞳の焦点はどこにも合わず、
激しく息乱して、何が自分の身体に起きたのかもよくわかっていない。
「や、だ……ごめ…なさ……ぃ」
動けないクラウドの頬に軽くキスをして、勃ちあがったままの先端にもキス。
「気持ちよすぎておもらしするおまえも可愛いな……」
とめどなく愛液が溢れ出る先端を、愛しげにぺろぺろと舐めまわす。
その様は大好きな飴をねぶっているかのよう。
「やっ、やぁん!!も、舐めちゃ……もう、許して…!!」
「ダメだ。もう一回イクまで許してやらない」
涙ながらの哀願は非情にも一蹴された。
丹念に丹念に真っ赤に腫れた亀頭を舐め尽くしながら、
蠢き続ける『おもちゃ』に手をかけてゆっくりと突き上げ始める。
「あ…あ……ひああぁっ!…あっあっ……、もう、ダ、メぇ…ひゃ、ああ、あ、……」
セフィロスの愛撫はどこまでも執拗だった。ともすればすぐに弾けてしまいそうなのに、
イキそうになったら動きを止めて焦らし、
またイキそうになったら睾丸を引っ張って焦らす。
いきそうでいけない感覚は、深く深くクラウドを苛み、狂わせる。
「ああ…あ、んっ、ああっ、ああぁっ…ああんっあぁあ…ああああああ…!」
涙を浮かべた瞳を見開いたクラウドの表情には、既に正気の欠片も無い。
自分から腰を振り、『おもちゃ』を深く深く飲み込もうとする。
「………そろそろ限界か」
ようやくいかせる気になったようだ。前の器官を舌と唇で愛撫しながら、
『おもちゃ』の強さを最大にまで上げて、激しく突き上げる。
「いやああぁ!!…ああああぁう!ああっあああぁああ!!」
クラウドの身体が、がくがくと激しく痙攣を始め、
気の狂いそうな喘ぎ声がまるで悲鳴のように、教会の中で響く。
やがて限界に達するとき、セフィロスの顔に白濁を零した。
「あっ……っっ!!」
2度、3度大きく痙攣しながら果てた。凄まじい射精感に気が遠くなる。
過呼吸気味の息を必死で整えながら、
身体の中からようやく『おもちゃ』が引き抜かれるのをどこか遠くでクラウドは感じた。
「は……ん………」
「まだ気絶するのは早いぞ。……私を見ろ」
絶頂の津波にぐちゃぐちゃにされて混濁した意識のなかで、
朦朧とセフィロスの顔を見た。顔。その―――顔。
「あ………」
絶世の美貌に白く残る痕。それはまぎれもなくクラウドのつけた……
思わず表情が変わった。そのときクラウドを襲ったのは、危険な、危険な……昏い、情動。
「そうだ。クラウド……それでいい」
クラウドの反応に、セフィロスが微笑む。ひどく満足げに。
「忘れるな……その心の快楽を」
ちゅ、ちゅと身体中にキスを落としながら、しげしげとクラウドの肢体を眺めた。
艶めいた肌、クラウドのものはまだ紅く勃ち上がったまま白く濡れて。
「少し薬が強すぎたか……」
勃ったものをそっと手のひらで包み込んで優しく撫でると、
クラウドがにっこりと微笑みかけた。
「だいじょ…ぶ。セフィの……挿れてくれたら、治るよ……」
だから、はやく……クラウドにねだられるままにセフィロスがゆっくりと覆いかぶさる。
「その前に……ひとつだけ」
熱い視線同士をまぐわせながら、セフィロスは問いかける。
「――私とは、何だ?」
総てを見透かすような瞳で見つめられて、
クラウドは這い上がってくるぞくぞくした震えを止めることができなかった。
もっと、見て……もっと。
「あ…あなた、は………」
「そう、あなたは?」
―――神―――
「唯一無二の神……あなただけが、唯一、俺を支配する……そして」
次のクラウドの言葉を、えもいわれぬ快感とともにセフィロスは受け取った。
そして自らの中の「何か」が音を立てて壊れてゆくのを感じた。
それをさせたのは、セフィロスの顔に白濁を吐き出し『穢した』クラウドの、
昏い情動の正体。
「俺だけが、あなたを支配する……俺だけの、『神』」
気がつくと、セフィロスは無我夢中で唇を奪っていた。
他にどうしようもなかった。舌のざらりとした表、ぬめる裏を絡み合わせて、
あますところなく。明らかに心がざわめくのをセフィロスは恍惚と感じていた。
クラウドだけを支配したい、クラウドだけに支配されたい……いや、ちがう。
これはもっと、原始的な、衝動。
(……し……た、い。……れ…たい………)
音を立てて唇が離れた。間近で、本当に間近で、視線が絡み合った。
「挿れたい」
「セ、フィぃ……」
……なんて凶暴な目線。
「おまえに挿れたい」
「い、れて……お願い……おしり、いっぱいかき回して」
漸く、熱い身体が重なる。硬く怒張したものをつぼみにあてがい
腰を進めると、さほどの抵抗もなく、
ずるっ…と入っていく。一体感。この瞬間は何物にも代えがたい。
「あぁ……セフィ…すごい、おっきいぃぃ……」
『おもちゃ』とは比べ物にならないほどの質量と熱さに感嘆の喘ぎが漏れる。
間をおかずにセフィロスが腰を使い始める。
繋がったところがほんの少し擦れるだけでもう理性が飛んでしまう。
クラウドは喘ぎをかみ殺すこともできずに新たに溢れた涙が頬を伝う。
「ひゃ、ゃあん!……ああっあんっあぁあん……も、っとぉ……」
もっと、もっとして欲しい。もっと近づきたい。もっとひとつになりたい……!
「セフィ…セフィ……腕、ほどい、てぇ……セフィに抱きつきたいよぉ!」
もがきながら涙を零して哀願する。セフィロスの手がもどかしげにクラウドの戒めを解く。
腕が自由になるが早いかセフィロスの背中に腕を回して爪を立て、ぐいっと引き寄せた。
たまらない密着感に頭の中が真っ白になる。
「あああああぁぁぁぁ」
もう正常に考えられない。
身体の中のいいところを抉られる度に快感が繋がった場所から脳天を
すさまじいスピードでかけめぐり、股間では何度も何かの液体が零れているが、
既にクラウドにはそれすらもわからない。頂点が断続的にずっと続いているような感覚。
それはあまりにもたやすくクラウドから正気を奪った。
「セフィ……セフィ、セフィ、セフィ…!!」
クラウドが無理やりセフィロスを押し倒し体勢を変えた。
上から跨る形になって夢中で腰を振り続ける。
「あぁぁああん……!いいぃっ…いいよぉお!は、はあぁんっああぁぁうぅ…
ああぁはああっはあっ、はぁん、あ、ああぁ、ああぁああ」
絶え間ない絶頂と息もつけないほどの快感に頭がくらくらする。
次第に満足に動けなくなっても性感だけは研ぎ澄まされて、
内壁にセフィロスのものを擦り付けるよう身体をひねると、
クラウドの砲身にまた力がこもり、射精した。
といっても、僅かに濁った精液が数滴零れただけ。
クラウドは残った力で腰を上下させ、何度も何度も痙攣を繰り返す。
「ひああぁっ、あ、あんっあんっっ、あぁ、ああ―――!」
やがて幾度目かの大きな痙攣の後、全身から力が抜け、
とうとうセフィロスの胸に倒れこんだ。
セフィロスも息乱しながら熱を帯びた声で名を呼ぶ。
「クラウド……」
「もぉ……もうぜんぶとろけちゃうよぉ………」
せわしなく呼吸するクラウドの背をいたわるように撫でる。
するとクラウドが甘えるように身体をすり寄せてきた。
「……もう、イキすぎてつらいだろう?気持ちよくないだろう?」
「ううん……すごい…すごい気持ちいよ、俺のなかで、セフィがびくびくしてる……
感じてくれてるのわかるから……」
だからもっと感じて、そう言おうとしたクラウドの身体は瞬く間に
反転され組み敷かれていた。繋がっている箇所が強く擦れて思わず悲鳴をあげる。
「ひっ……セ、フィ……?」
「存分に蕩けるがいい。私がいくまでに、あと3回はいかせてやろうか……」
セフィロスはクラウドの両足を自らの肩にかけると、思いっきり腰を進めた。
「やあっ……ふか…あああぁいぃっ」
これまでにない深い挿入。熱い塊が奥の奥まで届いて、
その感覚に酔いしれるようにクラウドは瞳を閉じて仰のいた。セフィロスが動き始めると、
ソコが音を立てて擦れ突かれるごとに淫らにひくついた。
「あ、ああ…あはあぁんっ……セ、フィ…気持ちいい?セフィ、あ、あっ、気持ち、いい?」
「ああ……おまえが感じるほど、私も気持ちいいから……」
クラウドにはもうほとんど締め付ける力は残っていない。
しかし中はもともと狭く、柔らかく弾力に満ちていて、
クラウドが感じて身体を強ばらせるたびに肉襞が絡みついて、強く締め付けて、
セフィロスを昂ぶらせるには十分過ぎるほどだった。
「あんっ……感じて…あっ、ああ…セフィ、もっと感じてぇ」
やがてクラウドが自ら腰を動かし始めると、
セフィロスはクラウドの片手を下肢の勃ちあがったものの先端に導いた。
促されるままに握り締めて、激しくしごいた。
「もっと乱れるといい……もっと」
「ああああぁっ…きて……あぁん…きて、もっと、あ、ああぁぅぅん…も、っと…奥まで…っ」
せがむ声に誘われるように腰の動きが激しくなっていく。
前と後ろから攻め立てられる。下半身から耐えられないほどの快感が数瞬ごとに駆け上がり、
積み重なっていくように快感が強くなっていくのがわかる。
「ひゃああっ……は、あああぁん!す、ごいぃ、ああうぅ!…すごぉい…ひあぁん!あっああっっああ!」
次第に快感が許容量を越えたのだろう、痙攣のように身体を激しくわななかせ、
クラウドは正気を捨てて泣き叫んでいた。
「ダメ…だめえぇっ!!もぉ、あっ、あああっ!あ…あぁ…!だ、め、ひあぁああん!…あああっ…ああぁあああああ――!」
髪を振り乱し、よがり狂いながら何度も絶頂を繰り返す。
クラウドのペニスは勃ち上がったまま繰り返しびくんびくんと震えて、
出もしない精液を出そうとするだけ。イキ続けて、
このまま本当に逝ってしまうのではないかと思うほどクラウドは乱れに乱れた。
「あと、もう少し、だから……」
蕩けそうに熱いクラウドの中、動くたびに絶え間なく極上の快感が這い登り、セフィロスは限界を感じ、
肩からクラウドの足を下ろして、苦しそうに息をする唇に唇を重ねた。
口付けをうけて数瞬クラウドは不思議そうな顔をして、白皙の表情を見ると、
何故かこの上なく穏やかな顔でにっこりと微笑んだ。
力の入らない身体を叱咤してセフィロスの背中に腕を回し、より近づけるように抱き寄せた。
「……だして」
この言葉を聴いて、もう長くはもたなかった。
腰を動かして十往復としないうちに、苦しげな声とともに
クラウドの壷に吐き出した。
「………ァ」
無意識に何度も仰け反った。
気持ちよすぎて死にそうだと言っても決して大げさじゃない、天国に誘われそうな意識をこれ以上
留めておけないほどの絶頂だった。
長い長い痙攣が静まり意識がはっきりしてからようやくセフィロスは自らの呼吸の荒さに気付いた。……
夢中になっていたのはどちらか。
汗が着衣にまとわりつく。髪をかきあげた。
クラウドの中から抜くと名残のように体液が糸をひいた。
クラウドは意識を失ったわけではないようだ。額の汗をぬぐってやると、
うっすらと瞳を開けて、セフィロスと目が会うとほころぶように微笑んだ。
「セフィのイク顔……すごくきれいだった……」
「………バカ」
明らかに照れ隠しのついばむようなキスを何度も繰り返して、
それを受け止めながらクラウドは少し困ったように笑う。
「ごめんなさい……も、動けない……」
あんなに乱れたのだから、無理もないだろう。
セフィロスはクラウドの頬をそっと撫でて、腕のマテリアをかざした。
魔法マテリアが輝きを放ち、クラウドの身体が淡い光に包まれた。
「あ……」
ふっと身体が軽くなった。セフィロスが使ったのはおそらくフルケアとエスナだ。
ずっと勃起したまま射精を望んでいたクラウドの中心も、
薬が抜けてようやく本来の状態に戻った。
「おまえがあまりにも可愛くて……抑えがきかなかった。すまない」
「ん……大丈夫…だよ……」
動けることが分かるとクラウドは身体を起こし、セフィロスにすり寄った。
「セフィ……俺、…俺……」
どうしても言いたい言葉が、出てこない。それでも顔を紅潮させて、必死に言葉を紡ごうとする。
そんなクラウドが可愛くて仕方ないのか、
セフィロスは自分より小さな身体をそっと抱き寄せた。
「……その先は、言わなくていい……代わりに夜ごと、
おまえの旋律を響かせてくれ……それだけで、私は………」
旋律とはクラウドが全身で響かせるもの。セフィロスだけに聴かせる旋律。
クラウドが、そう、「全身」で。全身で語りかける。唯一の神に、全身で……
名残惜しげにふたりの身体が離れると、セフィロスはふわりと宙に舞った。
クラウドは自然と、ひれ伏した。理屈ではない、そうしたかったのだ。
「さあ、疾く疾くお帰り。仲間たちが目覚めないうちに」
髪をそっと撫でる感触がしてふと顔を上げると、
そこにもうセフィロスの姿はなかった。静けさの戻った教会、
まだセフィロスのぬくもりが残る自らの身体を、クラウドはいとおしげに抱きしめた。
それは夜ごと繰り返される神聖な儀式
仲間たちは気付きもしない、クラウド本人ですら知らない儀式。
クラウドではない、けれどクラウドのなかの大切な一部分が、夜ごと語りかける。
うつくしい旋律を奏であげる。愛していると。セフィロス、あなたを愛していると。
最終幻想 へ
|
|