目覚めて見知らぬ天井が見えたら驚くのが普通なのだろうか、
と寝起きの頭でぼんやりと思う。オレが今すべきことは多いはずなのだが、
どうも身体の調子がいつもとは違うようだ、全く調子が狂う。
簡潔に言うと、今オレは素っ裸でバンザイをしてベッドに横たわっている。
もともとオレはいつも素っ裸で寝ているのだが、
生憎今回に限って服を脱いだ記憶が無い。
いやそもそもベッドに横たわった記憶が無い。何故だ?
オレは意識を失う直前の事を思い出す。確か、
あの小生意気な副社長に呼び出されていたのだ。
クラウドと同じ金髪碧眼のくせに殊勝さの欠片も無い、
しかもオレのクラウドに妙に馴れ馴れしくするあの副社長だ。
副社長室に通されて紅茶を出された、
そして副社長が出てくるのを待っているうちに急に意識が暗くなって……待て、紅茶……?
「……一服盛りやがったなあのくそガキが……!」
しかも薬の効きづらいオレが意識を失うだけの量の睡眠薬を!
ふ、ふふ……クックックッ、覚えておこう、
完全に無味無臭の睡眠薬の開発に神羅はどうやら成功したらしいな。
全くオレとしたことが不覚を取った。
さしずめ此処は副社長の息がかかった部屋か……
それだけ分かればこれ以上長居する必要は無い。オレは起き上がろうとした、が、
がちゃん。
成る程、オレがバンザイをしているのはそういうことか。
手首に金属製の拘束具がつけられ、頭上で固定されている。
更に拘束具に付いた鎖でベッドに繋がれているようだ。
随分と周到だな、オレは猛獣か?力ずくで引きちぎろうとしてみる、が、
がちゃ、がちゃん
く、生半可な力では無理か。本気を出すしかないな……
「セフィ!!」
その時、勢いよくドアを開ける音と同時に馴れ親しんだ声がした。
思わずベッドから顔を上げると、紛れもないクラウドが部屋に入ってきたのだ。
だが何でクラウドまで素っ裸なんだ?一糸纏わぬ姿に変な袋を持っているだけで。
いやそれどころじゃない。よりによってクラウドにこんな姿を見られるなんて、
恥かしいどころの騒ぎではない、オレの沽券に係わる。
クラウドの前では常に格好良くありたいのに……
「く、クラウドちょっと待て」
クラウドはオレの狼狽などお構い無しに駆け寄ってくる。
その様は子犬がじゃれてくるようでとても可愛らしいのだが、
そんなことを考えているうちにクラウドはオレに思いっきり抱きついてきた。
「セフィロス、大好き!」
抱きつかれた挙げ句、嬉々としてそんなことを言われた日にはオレの脳裏で
打ち上げ花火が大輪の華を咲かせた。
普段のクラウドは自分から抱きつくことも、
告白することも恥ずかしがってしてくれないのに。この据え膳状態は何だ?
「…クラウド、おまえ酒でも飲んだのか?」
「ううん、飲んでないよ」
確かにクラウドからアルコールの匂いはしないが、
全身が桜色に染まっていて艶めかしいことこの上ない。
クラウドの様子からして、いかがわしい薬を盛られた可能性が高いな。……嫌な予感がした。
「どうして此処に来た?」
「あのね、ルーがね」
やはり全てあいつの仕業か!!
「セフィロスを襲いたいんなら今しかないぞって」
は?……ちょっと待て。据え膳状態なのは、オレか!?
真っ青になっているだろうオレに、クラウドは天使の微笑みを向ける。
「ううん、そういう意味じゃない。セフィを組み伏せようなんて思わないよ。
俺はただ、セフィに気持ち良くなって欲しいだけ。だから、少しだけ我慢して?」
「う……」
おまえ、オレがその顔に弱いこと知ってるだろう?
しかも、副社長がクラウドに盛ったであろう薬のお陰かいつもより段違いに色っぽくて。
そんな目で見られたら、段々どうでもよくなってくるじゃないか。
「…………」
「…だめ…かな?」
……うう。
「……わかっ、た」
あのくそガキに乗せられるのはしゃくに障るが、
クラウドのおねだりは断れない。貴重なんだ、おねだりなんて滅多にしてくれないから……
「好きにしろ。ただし今日だけだからな」
そのときのクラウドの表情……
もしかしたらこの顔を見れただけでも承諾した価値はあったかもしれない。
「ありがとう!セフィ、大好き」
クラウドはオレの上に覆いかぶさると両手で頬を包み込んで、
ちゅ、ちゅっと啄ばむようなキス、それだけでも嬉しいが、
やがてそれは深くなって、唇を開くとクラウドの方から舌を入れてきた。
何だか新鮮な感じでこそばゆい気がする。
舌を迎え入れてやるとクラウドは積極的に絡めてきた。
自分の口の中でクラウドの舌を味わうのは初めてだが、
嫌ではなかった。どちらが先に舌を入れて、
なんて大して重要なことでは無いのだろう。ただクラウドの気持ちが分かれば。
舌が重なって、溶け合うような錯覚を感じあう、それだけでいい。
だが時折漏れるクラウドの悩ましげな呻きはどうしても可愛らしいと思ってしまうのだが。
「は…っ、……ふふ、俺もまだまだダメだね……キスだけで勃っちゃうから」
ようやく唇を離したクラウドが悔しげに苦笑する。
下半身に目をやると可愛い性器がすっかり上を向いている。それを見てオレも微笑んだ。
「安心しろ、オレも勃ちかけてる」
クラウドが視線をオレの下半身に移すと、おそるおそる手を伸ばして包み込んだ。
「ね、この正宗、誰の……かなあ」
「おまえのものだろう?おまえの為だけにあるんだから」
そう言うとクラウドは本当に嬉しそうな顔をして笑う。
ああ、そんな顔するから甘やかしたくなるんだ。
「嬉しい!俺はね、セフィの身体の中で、ココが一番好きなんだ。
ココを愛してるだけでセフィ全部愛してる気持ちになれるから」
「欲が無いな、俺の全てはおまえのものだと言うのに」
クラウドはゆっくりとオレの半勃ちのそれに顔を寄せていく。
「じゃあ、俺に愛させて?いっぱい気持ち良くなって」
幹に手を添えて愛しげに頬擦りする。
性器のそこかしこにキスをしながら時折ぺろっと舐め上げていくと、
やがてオレのは完全に勃ち上がった。
「今日は空っぽになるまでイかせてあげるからね、覚悟して」
さらりと恐ろしい事を言いつつ先端にキスをひとつ落とす。
なめらかな亀頭に舌を滑らせ、舐め回していくうちにやがて愛液が溢れ出して、
それを逃さないようにクラウドが吸い上げた。
「ふ……」
吸われる感触に思わず息を漏らすとクラウドも興奮したようで、
先端から舐めながら亀頭全体を口の中に迎え入れた。
温かい、クラウドの口の中……先端の割れ目に舌が差し込まれると、
それだけで声が漏れそうになった。いつもより遥かに敏感になっているのが判る。
拘束されている所為か、それとも睡眠薬だけでなく媚薬まで飲まされていたのだろうか。
ぴちゃぴちゃと先端ばかりしゃぶり上げられて、
オレが快感を耐える度に腹筋がひくついて、
それがまるで喘ぎのようで、オレはえもいわれぬ羞恥心に襲われた。
アソコに血液が集まってどんどん熱くなる
。敏感な裏筋をざらついた舌が何度も往復して、オレは奥歯を噛み締める。
けれど割れ目に舌がねじ込まれて思いっきり吸い上げられるともう堪らずに、
あっけなくイってしまった。
「いつもより、すごい早いね…セフィ……」
出された精液…かなり多かったと思うが、それを全部飲み干したクラウドは、
まだ硬いままのオレのモノを愛しげに撫でた。
「っおまえ…そんなにフェラ、上手かったか……?」
早すぎる絶頂にオレは驚愕を隠せない。クラウドは普段こんなに積極的な攻め方をしないし、
オレの身体もおかしい。だがクラウドはオレの言葉をくすくす笑いながら聞き流すと
再び股間に顔を埋めた。
「セフィって竿も大きいけど、袋も俺のなんかよりずっと大きいね…」
唇を軽く開いて袋の右側に口付ける。
そのまま吸い上げると口の中に袋の中身が入っていった。
口腔内でコロコロと転がされて全身が粟立つ。
背筋をぞくぞくしたものが這い上ってくる。
ここへの愛撫でこれほど感じるとはオレも思っていなかった。
「っふ……」
こらえるように漏れる息にクラウドは気をよくして、
今度は左側の珠を甘噛みしながら口で転がして、片手の指で鈴口の辺りをいじりまわす。
二箇所への刺激に身体が自然と強張る。
「セフィ、いい…?気持ちいい?」
小刻みに震えるオレの性器をクラウドが夢中になって弄んでいる、
その表情を見つめるとオレは否応無しに興奮する。
いつもなら余程昂ぶらない限り見せてくれない妖艶さ、
そして愉悦を浮べた表情。……もっと悦ばせてやりたい。
「……上等だ、クラウド」
その一言がクラウドに火をつけたのだろう、大きく口を開けてオレ自身を奥まで含む。
さすがに全部は飲み込めないが、上顎と舌で挟み込んで激しく頭を動かし始める。
「ん……っ」
オレの口からはとうとう吐息では無く、低い呻きが零れる。
クラウドの唇の感触がオレの性感を執拗に煽る。
柔らかくて温かくて、アソコがとろけてしまう錯覚に陥る。
下半身周辺をピンポイントに襲う快感と、背筋を這い上る鳥肌が立つような感覚。
刺激に苛まれた身体がやがて絶頂を告げる。
「ダメだ…出る………出す」
2、3回震えて高まりを放つ。吐き出されたモノを全て嚥下しても
クラウドはオレから口を離すつもりは無いらしい。
ますます口淫を激しくさせて本格的にオレを陥落させにかかった。
思いっきり奥まで含んで、飲み込むように喉を動かす。
むせそうになりながらも、懸命に喉と舌を動かしてオレに快感を与えようとする。
そんなクラウドの艶姿を見て感じない訳は無かった。
びくびくと震える喉の奥が先端にあたって、上顎と舌、
喉で絞るように締め付けられ、動くたびにざらざらした舌がペニスの裏側に擦れる。
「ん……く、………んっ……」
オレは目を閉じて快感に浸る、声だけはなんとか漏れないようにして。
下手に抗うより素直に受け入れる方が幾分か楽なのだ。
いつしか勝手に腰が動いていた。腰を浮かせて自分から快楽を追い始める。
熱いオレの塊で口の中を一杯にさせたクラウドが、
喉の奥を突かれて苦しげに表情を歪める、それすらオレを昂ぶらせた。
口でされただけでこんなに感じていると、
クラウドの体内に挿入ったらオレはどうなってしまうんだ?
「クラウド……クラウドっ」
クラウドの名を呼びながら、絶頂に上り詰めて果てる。
それなのに射精したばかりでびくびく震えているペニスを容赦なく吸い上げられて、
思わず声が出そうになったが唇を噛んで耐えた。
休む間も無くそのまま強引に快感を飲み込まされていく、
本当に容赦が無い。結局クラウドの気が済むまで、口の中で立て続けに何度もイかされた。
「……すごーい、セフィロス」
オレの出した精液をことごとく飲み込んで、
口端から零れた分も指で拭って舐め取りながら、クラウドはうっとりと囁いた。
「6回も出したのに、まだこんなに濃いよ、セフィ……」
数えてたのか、律儀な奴だな。さすがにオレも息があがってきた。
クラウドは口でオレを6回もイかせたのが相当嬉しいのか、
上機嫌に微笑んでオレに口付けてきた。舌が絡み合うと精液特有の苦味が伝わってくる。
こう苦い体液でもあんなに美味しそうに飲んでくれるのだから、
本当にクラウドは可愛い。オレも、クラウドの精液だったらいくらでも飲めるだろうな……
「クラウド……オレにも飲ませてくれないか?」
「え?」
「ほら、もう張り詰めすぎて痛いだろう?」
途端、クラウドの顔が素に戻ったように真っ赤になる。図星を指された所為だな。
「手こそ見ての通り使い物にならないが、口でしてやるから」
「でも……」
「おまえがあんまり美味しそうにオレの精液を飲むから、
オレもおまえのを飲みたくなった。……おいで」
おいで、と言ってクラウドが来なかったことは滅多にない。
今回もそう。いつもより積極的な今のクラウドがオレの誘いを断るはずがない。
顔を赤くさせながらも大人しくオレの顔を跨いで、
オレが咥えられるように腰を落とした。
「いい子だ……よく我慢していたな、こんなに蜜を溢れさせて」
愛液を滴らせる果実、本当に美味しそうだ。
先端をぺろっと舐め上げただけでクラウドは可愛らしい悲鳴をあげる。
もっと鳴かせたくて、一気にばっくりと食いつくと、何回か強く吸ってやる。
「いやああん……あっ、ああっ…ひあああっ」
我慢していた分、快感が凄いのだろう。あられもない声で喘いで大きく腰を震わせるクラウド。
オレが思うにな、クラウド。おまえはバリネコだ、今のところはな。
今回はまだいいが、もしオレを押し倒したいとか言ってきたら、百年はや……いや、
5年は早いと言ってやろう。
「ひいいぃん……イク…出ちゃう……ああ、あ、あっ!」
咥えてから一分も経ってないのに、あっという間にクラウドは絶頂に達した。
口腔内に放たれた精液を全部飲み干して、
尿道に残った精液を一滴残らず吸い上げるのも忘れない。
こうするとクラウドが気持ち良さそうにびくびく震えてくれるから嬉しい。
「おまえの精液は美味いな、いつ飲んでも」
満足げに言うと、快感の余韻冷め遣らぬ中でクラウドが恥かしがる。 ……可愛い。
「気持ち良かっただろう?」
「…うん」
どうにかクラウドが動けるようになると、おもむろにオレの膝を割って、
顔をじっと見つめてきた。何か言いたげにしているのはわかるんだが。
「……今度は何だ?」
オレの方から訊いてみると、クラウドは紅潮した頬で、何処か遠慮がちに口を開いた。
「あのね……足、開いてくれる?」
「………………は?」
クラウドの言葉の意味がよく理解できない。
今も開いているといえば開いている状態だが、これ以上足を開く必要性が分からん。
「何故だ?」
「……慣らす…から」
一瞬思考がストップする。……慣らす?それはつまり、……後ろを ……か?
思い至ると一気に全身が凍りついた。
「……セフィ?」
「ま……待て、おまえ確か、オレを押し倒すようなことはしないって ……」
「あ、うん。そうだよ?身体の中から、前立腺を刺激しようと思って。
その方がペニス触るより気持ちいいから」
そ…そこまでやらなくていい!
「い、嫌だ」
「え……どうして?」
クラウドの顔が悲しげに翳る。……頼む、そんな顔しないでくれ。
「嫌なものは、嫌だ」
恥ずかし過ぎるから、なんて口には出せない。
とりあえずクラウドを言い負かして諦めさせなければ。
「後ろなんて感じる前に異物感で嫌になる。オレには向かん」
「うう、でも……」
「……おまえはオレの言うことが聞けないのか?」
「…………っ」
次の瞬間オレは息が止まった。クラウドの大きな目から大粒の涙が零れだしたのだ。
……駄目だ、おまえに泣かれるとオレはどうにかなりそうなんだ。
少し言い過ぎたのか?オレも本当にまだまだだな……
「お願いだ、泣かないでくれ」
「う…っ、だっ…て、俺……全然セフィ、気持ち良くさせてあげられない ……」
そういえばさっきから気になっていた。もののついでに訊いてみる。
「なあ、どうしてそれにこだわるんだ?」
「…いつも……いつも、いつも…俺ばっかり何回もイかされて、
セフィ、息も切らさないんだもん……」
……ああ、そういうことか。何だかすごくクラウドのことが愛しくなって、
無性に抱き締めてやりたくなった。拘束されてるのがいい加減もどかしいな。
「クラウド、顔、近づけてもらえないか?おまえにキスしたい」
するとクラウドは素直に唇を重ねてきた。舌を入れて、
戸惑っているクラウドの舌を捕まえて軽くもてあそんでやると、
クラウドの方からも絡めてくる。本当に可愛いな、仕草ひとつひとつすら。
少し名残惜しげに唇が離れると、
クラウドの涙はもう止まりかけていた。少々荒療治ではあったが。
「おまえな、そう思ってくれるのは嬉しいが、
オレのHPはおまえの何十倍あると思ってるんだ?
オレの息が切れるほど激しく抱いたら、おまえはあっという間に気絶してしまうだろうな」
オレの言葉にクラウドは少ししゅんとしたようになってしまった。
でも体力なんてこれから少しずつ付けていけばいいだろう?
「でも俺ね、セフィのこと大好きだから……やっぱりたまには、
セフィをいっぱい気持ち良くさせてあげたい。
頭の中真っ白になって、自分が誰かもわからなくなるくらい」
セフィのこと大好きだから……かなりの殺し文句だな……
クラウドがそこまで自分を気にかけて、求めてくれているのを改めて感じて、
胸が熱くなる。ああ、つくづくオレはおまえが好きなんだな……
「まったく、おまえはわがままだな……」
それはちっとも嫌ではないのだけれど。
「ほら、好きにしろ。我慢してやる」
もう少しだけ足を開いて、片膝を立てる。……おいクラウド、何赤くなっている。
今更だろう?おまえの方が照れてどうするんだ。
「あ、…セフィ、できたらこっちの足も」
その言葉に少し驚いて、苦笑しながらもう片方も立てた。
M字開脚をするなんて初めてだがすーすーして落ち着かない。
両手を頭の上で拘束されているのと相まって、
いよいよ人の矜持というものを打ち砕くような格好だ。
クラウドの顔が間近まで寄って、吐息がソコにかかるのを感じて自然と心拍数が上がる。
「セフィのココ、きれいな色」
そういうこっぱずかしいことは言わなくてよろしい。
「…っ」
ざらり、舌で舐められる。今まで誰も触れたことがなかった場所を、
クラウドが舐めている。ああ、おまえはいつも、こう感じているのか……?
舌で舐められるたびにむずがゆいような感覚が襲う。
ぴちゃぴちゃと猫が水を飲むような音が余計にオレの羞恥心を煽る。
「っ!」
やがて幾分綻んできた蕾を舌でこじ開けられた。
尖らせた舌でゆっくりと抜き差しされて、蕾がひくついているのが自分でも良くわかる。
頃合いを見計らってクラウドがそっと指を差し入れてきた。
僅かな痛みが走る。だがオレは内に入ってきた少しひんやりする粘液の感触に驚いた。
「クラウド…おまえ、ローション持って……?」
「ああ、これはね…ルーがくれた、媚薬」
は?媚薬だと?
「何だか気絶しちゃうくらい凄いらしいんだけど、
セフィはこれくらいじゃないと効かないだろうからって」
そんな恐ろしいもの使わないでくれ!ああでも既に使われてしまったのだが……
唯でさえ今日は感じやすくなっているというのに!
抗議の声をあげようとしたが、いつのまにか起き上がっていたオレ自身を口に含まれて、
痛みと快感が交差する感覚に息が詰まる。
ここまでの段取りは完全にオレのやり方を真似ているな。
まあ当然と言えば当然だろうが……舌で亀頭を愛撫されるとそれに連動するように
オレの内壁が蠢く。指が楽に動かせるようになるともう1本増やされた。
媚薬で中がぬるぬるになっているからもうさほど痛くない。
クラウドの指がある一点を掠めると、オレの腰がびくっと震えた。
反射的な反応に一瞬驚く。おそらく前立腺を捕らえたのだろう。
「あっ、ここ?」
クラウドも気づいたようだ。二本の指を腹側にぐりっと曲げて、挟み込むように強く刺激する。
「…っは……」
鈴口を舌でちろちろ舐められながら、
身体の中の敏感な部分を二本の指でリズミカルに擦られる。
媚薬が効いてきたのか穴全体が熱く痺れるようになって、
性感がどんどん過敏になっていくのがわかる。
「…んん……くっ…!」
身体中を未知の快楽に支配されて、何度も息が詰まるのを止められない。
意思とは無関係に、びくっ、びくっと身体が震えてしまう。
せめて声だけは堪えようと歯を強く噛み締めた。
「そろそろ大丈夫かな……」
クラウドが指を抜いた。刺激が遠ざかってオレが深く息を吐くと、
また冷たい何かがぬるっと入ってきた。ペニスよりは小ぶりの何か。
「っ、クラウド…これ、は……?」
「えっとね、ローター。ルーが貸してくれるって……」
……あの副社長、絶対に面白がって貸したな!?
まさか道具を使われるとは思っていなかった。
いや、媚薬を出した時点で気づくべきだったか……
「んーと……ここ、だよね?」
オレが敏感に感じた部分にあたるようにローターを差し込むと、
クラウドがいきなりスイッチをいれた。
「……っ!」
突然身体の中で響くモーター音。不意打ちのように振動を始められた刺激で、
身体がびくんと反応する。おい、せめて一言ことわってからスイッチを入れてくれないか。
「無段階調節機能があるんだけど、セフィ一番強いのでいいよね?」
いや、よくないと思う。絶対よくない。
だがクラウドは容赦なくローターの出力を一気に最大まで上げた。
途端電流が走ったみたいに跳ねるオレの身体。
「うあ……っ!」
情けないことにしっかりと声が漏れた。だがそうでもしないと耐えられない。
最大出力の振動がダイレクトに前立腺を刺激してくる。
もうあまりの刺激に快感だか何だか分からない。こんなの初めてだ……
甘い痺れは穴の中だけでなく下半身全体に広がりつつあった。
全身が総毛立ってガクガクと震える。
その様子をクラウドが熱っぽい目で見ている… ………
「セフィ……気持ちイイ?」
「くは……は…っ」
声に出して返事をしたら絶対に上ずりそうで、オレは震えながら頷いた。
そんなオレを見てクラウドは自らの蕾に指を入れた。
「ん…セフィ、俺もう我慢できない……」
くちゅくちゅっと蕾の中を軽くかき回して早急に指を抜くと、
オレの腰にまたがって、オレの張り詰めたものを蕾にあてがう。
おい、もしかしなくても、するつもりなのか……?
「俺のなか、もう柔らかくなってるし、セフィのもとろとろだし……大丈夫だよね」
やばい。後ろだけでも余裕が無くなってるのに、そんなことしたら……
後ろからの快感が強すぎてオレは抗議すらできない。
クラウドがゆっくりと腰を落とす。
じゅぷっ、といやらしい音を立てて、熱い粘膜に締め付けられる……
「―――ッ!!!」
気持ち良い……なんてレベルじゃ…ない……
前と後ろ、同時に……なんて……
「あ、あっ…セフィ…すごいおっきい……」
あまり慣らさなかった所為か、クラウドの中がいつにも増して狭くて、
きゅうきゅう締め付けてくる。じっとしているだけでかなり辛い……
そんなオレを知ってか知らずか、クラウドが先導するように腰を揺らし始めた。
「ああっ…すごい…セフィのびくびくしてる……」
「…は……は…ぁっ…」
柔らかなクラウドの内壁が隙間なく絡み付いて、オレの全てを包み込む。
ペニスどころかオレの全身が断続的に跳ね続けている。
もう長く持たないことは予想ついた。クラウドの予告どおり、
本当にカラカラになるまで搾り取られるかもしれない……
だがそれがクラウドの望みなら、それもいいかもしれないと、
ケタ外れの快感に霞む理性の何処かで、思った。
「ああ、ああぁんっ…セフィぃ…あぁっ…すご…気持ちイイよぉ……」
クラウドの動きが少しずつ少しずつ、大胆になっていく。
ゆるやかなテンポで腰を上下させる。まだ挿れてから10往復としないうちに、
オレの中で熱いものがせりあがってくるのを感じた。
絶頂の予兆。ダメだ、もうイってしまう……
「は、ああ……ッ!」
ビクンと大きく震えて、精液を吐き出した……と思った。
だが射精していない…何故…?しかし疑問に思っている暇はなかった。
すぐにオレは身体の異変に気づかされる。
「あ…あっ……あ、……」
普通、絶頂を迎えると射精する。そうすれば、自然と性感は収まる ……なのに、
今のオレは、イキはしたが射精していない。
快感が一向に収束してくれない……広大な快感の海を漂っている感覚。
余韻がひどくてまだ身体が小刻みに震えている。
そんな状態でも前後からの強烈な刺激は続いていて、オレは瞬く間に追い上げられる。
「っ!クラウ…ド、ローター…抜いてく…っ」
ローターの振動が身体中に響いている。下半身全体を覆っていた甘ったるい痺れは、
もう全身に広がっていた。今身体を触られたら、どこもかしこもペニス並みに感じるだろう。
後ろからの快感にばかり耐えていると不意に前を強く締め付けられて声をあげてしまう。
抵抗どころか、我慢すらすることができない。
「くぅ…ま、たぁ…ぁああ!」
大きく背を仰け反らせて達する。しかしまだ精液は出ない。
たまらない余韻に全身がぶるっと震える。
息を整えようと思うとすぐにクラウドとローターの振動に高められて理性を奪われる。
……知らない。こんなギリギリのセックスなんてオレは知らない……!
「せふぃ…?……あぁ、んッ」
快感に耐えるように固く閉じていた目を薄く開くと、
しどけない姿のクラウドと目が合って心臓が跳ねた。
オレの上で喘ぎながら腰を揺らめかすクラウド。眉はきつく寄せられ、
色白の頬は紅く染まり、潤んだ瞳は情欲に塗れ、愉悦に浮かされた表情……
堪らなく扇情的なクラウド… ……
「ひゃあっ!あっ…セフィ、もう…俺……!」
…見て、いた…?目が合って……クラウドも、オレを見ていた…?
自分でも信じられないほど激しく乱れたオレを……
「いっ…クラウ…ドっ……イク……!」
そう思ったら全身が燃え上がった。絶頂が近い所為でクラウドの内壁が一層ひくついてくる。
目の奥で火花がスパークする。クラウドがオレの名を叫んでイクと、
ものすごい力で締め付けられてオレのペニスが限界に達する。
ひっきりなしに刺激を受ける後ろも同時に限界を告げる。
ああっ、ダメだ、本当にダメだ、前も、後ろも、どこもダメだ。
もう、これ以上、……耐えられない!!
「ああぁっ……ああああああぁああああ!!!」
自分の絶叫が、どこか遠くの方で聞こえる。頭の中が真っ白になる。
意識が遠くなる…気絶するギリギリで。射精できたことだけはどうにか分かった。
こんな凄まじいエクスタシー、感じたことが無い。死の恐怖すら感じた。
「はっ…はぁ……は……」
やけに長引く余韻、まだ全身がヒクついているのがわかる。
地に足の着かない浮遊感の中で、頬にクラウドの唇が落とされる。
気づけばオレの顔は涙と唾液に塗れていた。
「セフィ、大丈夫……?」
「あ…オレの身体、変だ……」
「…今イキっぱなしになってた?俺もたまになるよ……射精しないのに、イっちゃうの」
言われてみれば、記憶の中に思い当たるフシがある……
ただこんなに快感がキツいとは思わなかったが。
おそらく媚薬とローターの所為でこれほどになってしまったのだろう。
「クラウド、もう…ローター、抜いてくれ」
「えっ…でも抜いちゃうと……」
クラウドの表情が翳るが、これは譲れない。
出力が最大になったままのローターの所為で、身体がまた反応し始めてきている。
「気持ち良いにも限度がある……こんなの続けられたら、気がおかしくなる…」
「う、うん…わかった」
クラウドは頷くと器用に身体をねじってローターを引き抜いた。
ただ、抜かれるときにまで感じてしまうなんて正直自分でも信じられなかったのだが。
ローターのスイッチが切られると静かになって、
ようやくオレは ほっと息をつこうとした、しかし。
「……っ!?」
抜かれてすぐにその異変は起きた。刺激が遠ざかったのに、
オレの身体の奥に点いた炎がまた勢いをつけてくる。
後ろが疼いて…たまらない。ぞくっ、ぞくっ、と次々に這い上がってきて、一向に止まらない。
これはイク一歩手前の快感に似ている。でも刺激が足りなくて、イクにイケない……
苦しい…もっと強い刺激が欲しい、もっと……
「く、クラウド、動け」
「…ん……」
繋がったままのクラウド、オレのペニスの状態にはもう気づいているだろう。
クラウドがゆるゆると腰を揺らし始めた。そうされることで背筋に快感が走って、
オレも凄く興奮してくる。その快感が疼きをかき消してくれると思っていた。
だが後ろからの疼きはますます強くなるばかりで、本格的にオレを苛んできた。
ひくついているソコが何を欲しがっているのかは、
既に分かっている。だがそれをしてしまったらどうなるかも分かっていたから、
じっと耐えようとした。そしてオレは、寸止めの快感ほど残酷なものはないのだと思い知る。
「く……ううっ…」
薬に侵された身体が、さっき無理やり覚えこまされたばかりの快楽を欲しがっている。
クラウドがくれる前からの刺激が余計にそれを増長させていた。
欲しい……身体の奥が疼いてしょうがないんだ、
どうしようもなく欲しい、駄目だ、このままだと気が狂う……!
「……クラウドっ…頼む……ローター、後ろに、入れてくれ……」
とうとう、オレは陥落した。オレの上に跨ったクラウドが驚いている。
「媚薬が効き過ぎてる……早く」
「え、どうして……」
「いいから早く!」
切羽詰ったようなオレの声にクラウドが頷くと、一旦オレ自身を抜いて、
オレの足を広げてローターを差し込む。前立腺にあたったのを確認して、
スイッチを入れると一気に出力を上げた。
最も弱いところを最大出力で直に攻められて、
強烈な満足感に弾かれたオレの身体が思いっきり仰け反った。
「あああっ……!」
ものの数秒でイってしまった。射精を伴わない絶頂。全身に力が篭り、
何度か痙攣を繰り返し、余韻は強く長く、ひくひくっ、
と腰を中心にして身体が勝手に震え続けている。
クラウドがその様を舐め回す様に見ている……明らかに心臓を跳ねさせているのが伺える、
クラウドの顔はもう真っ赤で、瞳が潤み切っていて、我慢できないほど可愛くて……
「クラウド…早く来い……」
「う、うん」
クラウドがもどかしげにオレに跨って、ゆっくりと腰を落とす。
結合の快楽に二人して喘ぐ。快感そのものは、
確かに直接前立腺を刺激された方が強いのかもしれない。
だが、この充足感、幸福感に満たされた快楽はおまえがいないと絶対に得られない。
「は…っ……んんっ…!」
「やあぁんっ…セフィ…さっきより、おっきくなってる……」
オレのモノに貫かれて悶えるクラウド、それは扇情的という言葉では表し切れないほどで、
柔らかな内壁は絞るように締め付けて、ねっとり絡み付いて離さない。
クラウド、オレだけにその顔を晒せ……そうすればオレも、おまえの為だけに乱れてやる。
「く…うああぁっ!」
絶え間ない刺激に耐え切れず、また絶頂を迎える。
射精していない所為でほとんど収束してくれない快感に、
さっきから一向に痙攣が止まらない。もうまともに余韻を味わっている暇すら無く、
瞬く間に追い込まれる。
「あ…っく、…あぁっ……」
強く歯を食いしばっていても、次第に喘ぎを抑えきれなくなってきた。
自分の余裕の無い喘ぎを聞いて強い羞恥を覚え、余計に昂ぶってしまう悪循環に陥る。
「はあ、は…セフィ、こえ、抑えないで?……すごく…綺麗な、声だか、らっ」
おまえの声のほうがずっと綺麗なのに……
でもオレがおまえの声を聞いてひどく興奮するように、
おまえもオレの声で感じてくれるのだろうか ……?
「あっ、あ、あっ、セ、フィ…!」
「クラ…っあ、も、イク…!ああっ……ぁあああ!!」
またイってしまった。まだ射精には至っていないものの、
もういつ白濁を噴き出してもおかしくない状態だ。
クラウドも限界に近いらしく、締め付けがキツくなってきている。
「はあっ!…っあ、あぁ……クラウ…ドっ」
波濤のように押し寄せる快感で、頭が朦朧とする。
もう何回イったのかも良く分からない。女ですら、
ここまでイキまくる奴なんて滅多にいない。媚薬の所為にするのは楽だ、
でも自分の中に確かにいた、後ろで感じたがるオレが、拘束されて昂ぶるオレが、
オレの中にいる。クラウドといると、見たくも無い自分すら見えてくる、裸にされていく……
「セフィ、イク…もうイっちゃう…!」
クラウドが突然、身体を倒してオレに口付けてきた。夢中でむしゃぶりついた。
獲物を貪る肉食獣のように、滅茶苦茶に舌が絡み合う、
舌が溶けそうなほど。そしてオレの身体の奥底から何かがせり上がり、
高まってくるのを感じる、絶頂が間近に迫っている。
「―――っっ!!」
唇をしっかり合わせたまま、声のない悲鳴をあげてクラウドが達する。
クラウドの全身がびくびくと揺れて、振動がオレにも伝わってきた。
同時にこれ以上無いくらい締め付けられて、
その衝撃にオレの身体も大きく痙攣し、オレの悲鳴は全てクラウドの口に飲み込まれた。
オレの喉元から胸にかけて、温かいクラウドの体液が降り注ぐのを感じて。
さっきからずっと、オレの中の何かが、階段を駆け上がるようにどんどん高まっていく。
『何か』を溜めに溜めて、まるで一気に吐き出すための準備をするように。
「………ァ」
最大限まで…本当に臨界点ギリギリまで高まったものが、
ゆっくり、ゆっくりと傾いていく。やがてそれは落下を始め、爆発的に、加速する―――
「あ…ぁああっ……ああああッ!!」
気持ち…イイ……ッッッ!!!
「ああぁああああアあああァあああああああーーーーーー!!!!」
……ホワイトアウトする、意識
正気を保てないほどの快感………残響する言葉……愛してる、と… ……
絶頂の津波にありとあらゆるものを飲み込まれて、快感のたまらない余韻だけが、
唯一オレをこの世に繋ぎとめる、細い糸……
射精したのにまだ快感が尾をひいて、それは波のように断続的に押し寄せ、
身体がまるで自分のものでないようにひくんひくんと震え続けるのを
遠くで他人事のように感じる……底の無い快感の海をゆらゆらと漂いながら、
オレの顔に羽根がふわりふわり落ちていく感触を心地良く味わう。
「セフィ…好き…大好き……」
誰かが呼んでる……どこか懐かしい声………やさしくて、あたたかくて……
もっと、呼んで……オレの、愛しい……
「クラウド……?」
羽根がもうひとつ、オレの唇に落ちる。ずっと羽根だと思っていたのは、
クラウドの柔らかい唇……
自然頬が緩んで、唇をぺろっと舐めてやると、
クラウドは口を薄く開けてオレの舌を迎えてくれる。
「ん、ふ……」
舌を寄り添わせて、互いに愛撫しあう。緩やかに、穏やかに、いとおしむように。
角度を変えるときに漏れる息と僅かな水音、それすらも愛しくて仕方ない。
この優しい時間がずっと続けばいいのに……
けれどオレの内側から響いてくるローターの振動が、着実にオレを苛んでいく。
そしてクラウドがオレからゆっくりと唇を離すと、寄り添っていた舌も離れてしまって。
「……もっと」
餌をねだるペットのようにオレが囁くと、また唇が降って来る。
唇をついばむように何度も触れて、次第に深く重ねて行く。
舌先で歯茎をくすぐってみると、クラウドがこそばゆがってくすくす笑う。
舌が絡み合っているだけで、身体がぴったり重なっているだけで、
そのまま溶け合えてしまいそうで…おまえと同化してしまいたくなる……
「……っん、…はぁ…あ……」
ぶるっと身体を震わせて、たまらず唇を離して喘ぎを零す。
刺激され続けている後ろからの快感が、またオレを昂ぶらせ始めていた。
前後から与えられる快楽に立て続けに陥落させられたオレは、
もう抵抗する気すら起きずに自分から腰を揺らし始める。
「……感じてきたの?」
クラウドがオレの変化に気づいて、時折身体を強張らせるオレの肢体を見つめると、
恥ずかしそうにもじもじしている。…恥ずかしがる方が逆じゃないか……?
だが次のクラウドの行動にはさすがに面食らった。
騎乗位で繋がったままオレの脇腹にフェザータッチで触れてきたのだ。
「っは……」
触れるか触れないかギリギリの愛撫。
そういえばクラウドはこうやって触れられるのが一番感じることを、
普段身を持って知っている訳だったな……
手のひらでグルーミングするようにオレの上半身を覆っていく。
普段より遥かに敏感になっている所為で、
微かな手のひらの感触すら命取りになりかねない。
しかも手のひらにばかり気をとられていると、後ろからの快感に耐え切れなくなる。
「ああっ…!」
クラウドの指先が乳首を掠めて、それだけで声をあげてしまった。
その声が酷くいやらしく聞こえて、オレは驚きを隠しきれない。
「セフィ……俺の手、感じる?…お願い、声、抑えないでね」
そう言うとクラウドは両手で片方ずつの乳首をいじり回す。
親指と人差し指で挟んで優しく擦ったり、指の腹で押しつぶしたりする。
普段ならそんな事をされても何とも思わないのに、今は信じられないほど感じてしまう。
上半身がびくっびくっと震えて、
それに煽られるようにクラウドは更にオレの首筋に舌を這わせ始めた。
その上、咥え込んだオレのモノを意図的にきつく締め付けてくる。
4箇所?5箇所…?そんないっぺんに敏感な場所ばかり攻められたら、もう、おかしくなる……
「はぁ……や…っ!…あぁ…感じ、る…ぅ……」
こんなことをするのは初めてのくせにクラウド、随分上手い……
良いお手本が毎晩可愛がってやっている所為か(オレのことだ。何か悪いか)
いや…今はそれどころじゃないんだ……全身が、感じすぎて……
「…ッ…ダメ、だ…もう……!」
首筋も、乳首も、ペニスも、後ろも……どこもかしこも感じてしまって、
もうこれ以上快感を耐えられない……あふれてしまう……!
「あ…ああーーーっ!!」
全身が震えて、射精感のない絶頂を迎える。強烈過ぎて病み付きになるような快楽。
イったことで完全にスイッチが入る。快感に貪欲になって、じれたように腰を揺らす。
だがクラウドはまだ動かず、何か言いたげにしているようだ。
「クラウド…?」
クラウドは意味深な微笑みを浮べている。
「ね、セフィ…競争しない?」
「競、争?」
「どっちが先に空っぽになるか」
思わずオレは苦笑した。勝敗は既に決しているようなものだ
。勝てる気がしない……だが構わなかった。
既に快楽に身体がとろけきっているくせに、
オレの顔には自然と、いつもの不遜な笑みが浮かぶ。
「ふ……いいだろう」
そうするとクラウドは嬉しそうに笑って、本格的に腰を上下させ始めた。
背筋を極上の快感がびりびりと走る……後ろからの刺激と相乗効果を起こして、
快感が恐ろしいスピードで積み重なっていく。
「セフィっ……はぁん…イイっ…イイよぉお…!セフィ……っ」
「あ、く…っ…あぁっ!……クラウド…クラウドッ…!」
クラウドの、快感を滲ませたいやらしい表情、きっとオレの顔も……
羞恥は、ある。だが自分の表情を気にする暇があったら、
相手のよがる顔を見て感じた方がずっといい……
「クラウド……やっ…もっとだ……もっと激しく!」
拘束されている所為で主導権を握れないのがもどかしい。
クラウドの動きに合わせて腰を思いっきり突き上げる。
そうすると奥まで届いて、クラウドが仰け反って悲鳴をあげる。
すると自然と締め付けもキツくなって着実にオレも追い詰められていく。
更にオレが腰を動かすたびに、クラウドの身体の震えが伝わるたびに
最大出力のローターが前立腺をぐいぐい押し付けてきて、
電気を流されたような快感に、腰はおろか全身がガクガク震える。
「うあ…ッ!…あ、あっ……あぁっっ!」
いつものように前だけの刺激なら、もしくは後ろだけを攻められたなら、
まだ耐えられるだろうに、媚薬でとろとろにされた身体に、前後同時はキツ過ぎる……
「イ、ク…っ…あっ、ア、ああっ、あああアぁーーー!!」
気持ち良くて、本当に気持ち良過ぎて……朦朧としてくる……
皮肉にも、快感だけがオレの意識をどうにか現実に繋ぎとめてくれている。
痛みなら、慣れているから耐えられる、我慢も容易いだろうが、
ことのほか強すぎる快楽に対しては、殆ど耐性が無いことに気づく。
堪え方すらわからないから、身体を震わせながらただただ喘ぐしかない。
「ひいぃッ……い、いい…イイぃっ!…あはぁ……クラウド…ッ!」
「セフィイっ…好きぃ…あぁんッ……大好き…!…セ、フィ…っ」
クラウドの艶を帯びた声が心を震わせる……何度聞いても聞き足りない告白、
何度言っても言い足りない言葉が……
「っ…好き、だ……っあ…クラウド…あいしてる…!…愛し、て…あぁッ!」
ぞわっと鳥肌がたつように全身を快感が覆う。射精しないまま何回イッたのか数えていないが、
そろそろまた出してしまいそうな感じがする…
身体の奥から何かが上り詰めてくるのが分かるからだ。
スカイダイバーがジャンプ地点まで上昇していくさまに似ている。どんどん高まってくる……
「………あっ…あ…あ、あっ、あ…あ、ア、あっ、あ…」
やがて一段ずつ積み重なっていく感覚に耐え切れず声が漏れ出す。
もうすぐイキそうな気配、ピクッピクッと身体が小刻みに揺れ始める。
「セフィ……もう出そう?」
「あっ…あっ…アッ…あ…ア……アッ…アッ……」
クラウドの声に答える余裕が無い……もう今にもイッてしまいそうなのに、
まだ上り詰めていく……どこまで?…怖い…どこまで行ってしまうのだろう
…これ以上行ったら…もう……
「…あっ…アッ……あッ……アッ………ア…………」
全身の筋肉が収縮して、一気に力が篭った。ひきつけを起こしたようにあちこちが痙攣して痛む。
その数瞬後、ふわっと身体が浮いた気がした。刹那の浮遊感。
「あ、あああぁっ……!あああぁあアああッッ!!」
もうイく…!そう思った瞬間、雷に打たれたような衝撃が襲い掛かった。
生半可じゃない、それこそ心臓が止まりそうな……!
「ぁああああァアあああああアあああぁあああああーーーー!!!!」
う、うそ…だ……!…凄、い……こんな…ッ!!
「あぁあああっああああああーーーー!!!
アあああぁあアああああぁああああああぁアあああっあああアあーーーーー!!!」
もう気が狂ったように叫ぶしかなかった。数百発のサンダガを常に喰らい続けている様な……
常人だったら確実にショック死している。
オレですら意識を繋ぎ止めるのが精一杯、衝撃の正体が快感なのだと辛うじて分かるだけ……
「あああアぁああァあああああぁああァあアあああアァァーーーー!! !!!
ああアああああぁああァああアああッッ……!!!
ア…あああぁアアアアあアぁああああァあああああーーーーーー……!!」
止まらない絶頂、身も世も無い悲鳴をあげて、狐憑きのように身悶えて飛び跳ねる身体……
霞む意識の中で、のたうちまわるオレの身体が突然何かで押さえつけられるのを感じた。
………ああ………クラウドだ……クラウドが渾身の力でオレを抱き締めている……
「ぁアあああぁあ……!!アぁあア…ッ!!…あ…ああぁあァ……!」
終わりが無いとすら思った絶頂がどうにか収束の兆しを見せ始める。
気が遠くなっているだけなのかもしれないが……心臓の音が凄く煩い……
「…ああァっ!……は、あぁああ………あっ…あぁ……」
もう余韻なんだか何なのか分からない、ただ、
辛うじて自覚できる解放感が、射精できた事を知らせてくれる。
まだ全然快感が収まり切らなくてひっきりなしにひくひく震えている身体……
絶頂が始まってからある程度静まるのに、優に三十秒はかかった。
通常なら五秒とかからないのに……射精するたびに酷くなっていく絶頂と性感、そして、性欲……
「……あっ……あ………あ…っ……」
「セフィ……落ち着いた?…もう大丈夫……?」
クラウドが、涙と唾液でぐちゃぐちゃになったオレの顔をぺろぺろ舐めて優しく聞いてくる…
クラウド……クラウド……が、欲、し、い… …
「もっと……」
「え?」
「もっと、イキたい……」
今のオレはきっと、狂気の目をしてる……情欲の炎をちらつかせながら……
「狂わせろ……もっとオレを狂わせて……」
そしてクラウドの目の色もまた、妖しい色を帯びる……
ゆっくりと唇を重ねてくる。開かれた口に舌を滑り込ませ、
じっくり絡ませる、濃厚な口付け。決して性急にではなく
、時間をかけて、深く、深く、底なし沼に沈んでいくように。
「んっ……ん…んんっ……」
キスを続けて数分も経つと、オレは次第に下半身の疼きに耐え切れなくなり腰を揺らし出す。
それに誘われるようにクラウドも腰を振り始める。
緩やかな刺激がもどかしくてたまらなくなると絡み合っていた舌が糸をひきながら離れて、
クラウドが本格的に腰を上下させてきた。
「せふぃ…ぁん…お願い……全部出して…」
「…んッ……クラウ…ド…?……」
「一滴も残さないで…っ……全部俺の中に入れて……」
挑発のように締め付けてくるクラウド、オレが我慢できる訳が無い。
すかさず突き上げてやるとそのたびにビクッと反応を返す、素直な身体。
「残さず搾り取るがいい……全部くれてやる……」
どうして、だろうか……オレはどちらかと言うと矜持は高い方だと思っていた、
なのにどうしてこんなことまでできるのだろう。
昔のオレならこんなによがり狂うオレなど直視できない筈だ。
でも……ちがうんだ。おまえさえそれでいいと言うのなら、
オレはどんな自分でも受け入れられる …
娼婦のように淫らに喘いでも、おまえの前でなら恥ずかしくない……
きっと、本当におまえのことが大好きだから……
「……アッ……、…アッ…………ア…、……」
射精しないまま幾度もイかされて、またあのケタ外れの絶頂が近いことに気づく。
射精するのはもう何度目になるのだろう……記憶が酷く曖昧で……
クラウドと繋がっているところと、ローターが当たっているところがじんじん痺れて、
火がつきそうなくらい熱くて、融解して下半身が全部とろけてしまいそうで……
そこから生まれた快感が全身をびりびりと這い回って、気持ち良くてたまらない…
あまりの快感に意識がもう持たない……刺激に反応する身体も次第に満足に動かなくなり、
喘ぎ声も細く弱くなりつつある。
オレの腰の上で欲情のままにのたうっているクラウドの姿が霞んでくる……
「セフィ…セ、フィイっ……ぁあ…あァああああーーーーー!!!」
「――ッッッ!!!アァ……アあアアぁアアァッ……!!!」
クラウドが先にイッたようだ、内壁がひくひく痙攣したと思ったら物凄い勢いで締め付けて来て、
それが絶頂の皮切りだった。全身が痙攣するほど力が篭り、
背中の下の辺りから脳天までを一気に絶頂が突き上げた。
それは間歇泉が噴き上がるさまにどこか似ている気がした……
「ア……アァああアアアァーーーーー………!!!!!
あアッアあァアアアああ…アアあアアーーーッ……!!!」
容赦のない快感がオレに襲いかかる……消耗し切った身体には致命的だった。
かすれた悲鳴がオレのものじゃないみたいに……
「アアあァ……!…あアアーーーー!!…あッ…は、アアア!!!」
身悶える体力も既に尽きているらしく、ただガクガクと身体が震えるばかりだ。
だが到底耐えられないほどの絶頂に襲われているのにもかかわらず、恐怖感は殆ど無かった。
クラウドが、その細い身体でオレの身体をぎゅっと抱き締めてくれているから……
「…アア…!…ア………アぁ…………アッ………」
何故か、涙が溢れて止まらない……どうして…?……あぁ……もう……駄目…だ
………昇天………天に、昇るように…ふわふわして……意識が…保てない………
だれ……だ?…そこにずっと……いるのは……ああ、おまえ…?…
…どうして……ほら、…おいで…こっちへおいで……小さい…
…手だな……うん、……大丈夫……これから……は…
……一緒に、…行こう………
「………、…?」
ふと気がつくと、目の前にオレと寄り添うように眠るクラウドがいて少し驚いた。
いつの間に、クラウドは寝てしまったのだろうか……?
「クラウド…?」
かすれた声で呟いただけなのに、ぴくっとクラウドのまぶたが震えて、
青くて綺麗な瞳がゆっくりと姿を見せた。
「セフィ…起きたんだね」
まだ少し寝ぼけたようなクラウドはオレを見るとほころぶように微笑んで、
傍に擦り寄ってきた。それは凄く嬉しいのだが、いつのまにかオレは寝ていたようだ。
オレの記憶が途中から曖昧になっていて、どうやって寝たのかよく分からない。
それに身体が酷く重い……
「オレはいつ寝たんだ……?」
「あっ…そう…だよね、覚えてないよね」
クラウドの言葉に頷くと、クラウドは何故か顔を赤くさせて囁いてきた。
「あのね、5回目に俺の中に出したときにね、悶絶失神」
「も………」
数瞬、開いた口がふさがらなくなった。そしてすぐ顔がカーッとなるのが分かった。
これは絶対真っ赤になってるな……恥ずかしい……思い出せば何もかも恥ずかしい……!
「クラウドっ、あの媚薬を見せろ!全部あれの所為だ!」
「あ…うん、ごめんね…媚薬なんて使って……」
手の使えないオレの代わりにクラウドが媚薬のボトルにある説明書き部分を見せてくれる。
まず神羅カンパニー科学部製造という文字に軽く寒気がした。
あそこはこんなものまで作っているのか……!
「…体質依存性は極めて少…か……催淫効果の他、
射精を繰り返す毎にオーガズム時の性感が成長…?……
成長は使用者の意識が途絶するまで続く……だと……?」
「え…!?」
クラウドが目を丸くさせる。その様子からすると、
おそらく詳しい効果を聞かされずに渡されたのだろう。
「あの副社長、クラウドにこんな危険なモノを持たせて…!」
腹立たしげにオレが吐き捨てると、いきなりクラウドが抱きついて謝ってきた。
「ごめんなさい、俺が悪いんだ…!」
突然抱き締められてオレはかなり動揺する。
その所為で胸に渦巻いていた副社長への怒りがすっかり霧散してしまった。
「俺が最初にルーに相談したんだよ……そしたら、こういう計画になって…
セフィの紅茶に睡眠薬と媚薬入れて、抵抗されないように両手を拘束してもらって…
俺も自分で興奮剤使って……」
「クラウドが……?」
「ごめんなさい……俺ただ…セフィに感じて欲しくて……
俺がセフィに感じさせてもらってる何分の一でもいいから、感じさせてあげたくて… …」
「クラウド……」
オレの胸に頬をすり寄せるクラウド、仕草も、言葉も、
どうしてここまでオレを喜ばせることができるのか……
自然とクラウドの背に腕をまわして抱き返していた。
「セフィ……?」
するとクラウドが不思議そうにこちらを見上げてくる。
「どうした?」
「何で手が動くの?」
あ……すっかり忘れていた。手首を見ると、
オレを戒めていた拘束具の金具が無残に引き千切れていた。
「散々暴れたからな……いつのまにか壊れていたんだな」
「でもセフィ、さっきまで両手使えなかったよね?」
確かに、さっきまでずっとオレは拘束されているものだと思っていた。
クラウドを抱き締めたいと思った瞬間まで、ずっと……
「……縛られていたのかもしれない……」
「え…?」
「おまえという糸に」
「っっ!!」
ストレートに言い過ぎたか?本当のことなのに……
クラウドが余計にしがみついてくる。耳まで真っ赤にして……全く、可愛いな…
だから苛めたくなるんだ。
「もう、離してよ!俺シャワー浴びてくる!!」
「身体が重い。もう少しこうしていないか」
「知らないよ、そんなの!」
そう言う割りにちっとも離れようとしないな、くくっ……
こういうのを何と言うのだったか……ツンドラ?…氷河?
すっかり黙り込んでしまったクラウドをぴったり抱き寄せてやると、
安心しきったようにクラウドが吐息つくのが分かる。
もう少しだけ、こうやって寄り添いながら眠ろうか……
本当に、今日は本当に、疲れたからな ……
おまえは真実悩みぬかないと、オレにわがままを言ってくれない……
だからオレができることなら、叶えさせてやりたいんだ。
ああ…本当にオレは、おまえに甘い………
+End+
羞恥心との壮絶なる闘い。
重要ぽいんつの箇条書き
・足は自分から開かせるのが非常に悦ばしい
・神羅時代のクラウドは天性の「受け」
・「オレすべてはおまえのもの」と真顔で言うセフィロシズム
(ジャイアニズムのいとこ)
・クラウドは「デレ」の強いツンデレ
・セフィロスはSかつMである(でも何故かさまになっている)
etc.
……何て門戸の狭いお話だろうと思います。
やっとれんわぁ(戻る?)
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