同行、ふたり


そしてクラウドは、静かに瞳を閉じる。まぶたに浮かぶのは、あのひとの後ろ姿。 銀色の長い髪揺らして、自分の先を歩いている。待って、セフィ待って。 あんまり早く行かないでね、俺が追いつけないから。 待ちわびたようにあのひとは振り向いて、そっと微笑んだ。 さざなみのように優しくて、海のように深遠なあのひとの表情。俺の大好きな、何よりも大好きな表情……
セフィロスはふと、歩みを止めた。誰もいない小道、空を仰ぐと、 色を取り戻した蒼天に、真綿に似た雲がたゆたっている。静かに、瞼を閉じた。 そのとき一陣の風が、吹き抜けて、セフィロスの黒いコートと長い髪を揺らした。
―――行こう……セフィ……―――
胸の中に入り込んだ温かい気配を感じて、セフィロスは微笑んだ。 もう離れていなくていい。それが「ふたり」には何よりも嬉しかった。
「ああ、行こうか……ずっと…一緒に……」
再び、歩き始めた。彼の行く先には、西日が落ちかけていた。 少しまぶしそうに彼は目を細めて、どこまでも続くあてどのない道を、歩いていくのだった。



FF6にこんなシーンがありました。
一匹のモーグリと、金の髪かざりを持った泥棒おおかみが、崖から落ちかけていて、
どちらか一方しか助けられないのです。
もし、セフィロスとティファが崖から落ちかけていて、
どちらか一方しか助けられないのだとしたら、
クラウドはきっとどちらも助けられないんじゃあないかと
そう思ってこのお話はできました。
そもそもセフィロスが崖から落ちかけているという状況自体が想像しづらいのですが。
きっとセフィロスは、クラウドがどちらも選べないことを知っていて
自分から手を離すのです。

以上のことを友人PI嬢に話したら
「手を離したセフィロスは、その粘着質な足で崖にひっつくんだよ」
と、彼女は言いました。
……イカの吸盤?


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